お酒は少量なら身体に良い?
こんにちは。
今回は”お酒を習慣的に飲み過ぎている人の腸内環境はどうなるの?”というテーマのお話です。
古くから「酒は百薬の長」という”ことわざ”があります。
実際にビールに含まれるホップや、ワインに含まれているポリフェノールは身体に良いとされていますが、お酒に含まれている”アルコール”による健康リスクは無視できません。
アルコールには、ストレス発散や血行促進効果があると言われています。
また、飲酒によって”幸せホルモン”と呼ばれるホルモンのひとつ”ドーパミン”が分泌され、楽しい気分にしてくれるので、場面によっては円滑なコミュニケーションを助け、人と打ち解けるキッカケを作ってくれるなど、飲酒にもメリットはあります。
しかし、お酒は少しでも飲み過ぎるとデメリットの方が大きくなります。
「酒は百薬の長」という”ことわざ”は、お酒は、どんな薬よりも優れた効果を持っている、という意味ですが、実はこの”ことわざ”には「されど万病の元」という続きがあります。
毎日の飲酒やアルコールの過剰摂取をしていると「万病の元」、様々な病気や健康リスクを高める原因となるということです。
腸内環境を整える”腸活”にとって、アルコールの摂りすぎは基本的にはNGです。
しかし、適量のアルコール摂取なら胃腸の働きを活性化してくれるなど、”お酒は少量なら身体に良い”という話もありますが、それは本当なんでしょうか?
アルコールが腸内環境に与える影響を理解して、お酒との付き合い方を考えてみましょう。
アルコールが与える影響
アルコールは、胃腸の血行を促進し働きを活性化させます。
”食前酒”といった食事前に少し飲酒することで、適度なアルコールの刺激を受け、唾液や胃の中の消化酵素が活発に増えます。
これにより消化を助け、胃腸への負担を和らげる効果が期待できます。
また、食欲を増進させ、食事を美味しく感じさせる効果も高めると言われています。
しかし、だからといって飲み過ぎには注意が必要です。
★腸内フローラ
人間の腸内には約1000種類、100兆個もの細菌が存在していることが分かっています。
それらの腸内細菌は、腸管の壁面に張り付いて生息しています。
細菌は種類ごとにグループをつくって腸内に群生するので、その様子がお花畑(フローラ)に似てることから”腸内フローラ”と呼ばれます。
《腸内細菌》
腸内フローラに住んでいる腸内細菌は、大きく分けて3種類(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)存在しており、その細菌の数のバランスによって腸内環境の状態が決まります。
健康な腸内環境は、腸内フローラの細菌の種類がバランス良く、その理想的な割合は「善玉菌が2割:悪玉菌が1割:日和見菌が7割」だと言われています。
悪玉菌が増えて、腸内フローラのバランスが乱れると、下痢や便秘、かゆみや炎症といった肌トラブル、疲れやすいなどの体調不調になりやすくなってしまいます。
また、腸内環境が悪化すると太りやすい体質になり、免疫力も低下するため病気になるリスクも高くなってしまう恐れがあります。
★アルコールの腸内環境への影響とデメリット
摂取したアルコールは、約20%が胃で、約80%が小腸で吸収されます。
過度なアルコール摂取は、腸内環境に様々な悪影響を与えます。
悪玉菌や有害物質が増える
アルコールを摂りすぎると腸内の悪玉菌が増えて、腸内フローラのバランスが悪くなります。
さらに、悪玉菌は有害物質を発生させるので、腸に炎症を起こしたり、腸のバリア機能を破壊して有害物質が体内に吸収されやすくなるなど、免疫力が低下するリスクが上がります。
肝臓への負担増・代謝の低下
人間は食べ物の栄養素を、そのまま利用することはできないと言われています。
食べた物は、まず胃や腸で消化・分解されて、様々な物質(栄養素)にして吸収されます。
体内に取り込んだ栄養素は、”肝臓”のフィルターのような働きでさらに分解・解毒して、使いやすい物質に変換してから生命活動などに利用します。
*この栄養素を使いやすい物質に変換させる働きを”代謝”と呼びます。
”腸活”をすると代謝が良くなると言われている理由は、腸内環境を整えて消化吸収を助け、肝臓の負担を減らし、栄養素を変換させる働きが良くなるからです。
健康な腸内環境であれば、適量のアルコールは腸内細菌の働きによってスムーズに分解して吸収するので、有害な作用も少なくなります。
しかし、飲み過ぎや毎日の飲酒、腸内フローラが乱れているとアルコールの分解力が低下して、肝臓の負担が増えてしまいます。
肝臓の働きが低下すると、身体の解毒作用も鈍り、病気や不調の原因になります。
アセトアルデヒド
アルコールに含まれている”アセトアルデヒド”という物質は毒性が強く、細胞にダメージを与える物質で、「癌」などの原因になるとも言われています。
飲酒すると、身体が赤くなったり、頭痛や吐き気などの症状が出るのは、アセトアルデヒドの作用です。
身体の解毒作用がしっかり機能していれば、アセトアルデヒドは”ALDH2”という酵素の働きによって分解・無毒化できます。
ですが、アルコールの摂りすぎや身体の解毒作用が低下している状態では分解・無毒化しきれずに体内に残ってしまいます。
アセトアルデヒドが体内に長く留まると、細胞にダメージを与え、老化を促進させます。
★お酒に強いかは、その人の遺伝子で決まる
アルコールを摂取すると、すぐに身体が赤くなる人、次の日までアルコールが残る二日酔いしやすい人、すぐ酔う人・あまり酔わない人、頭痛や胸やけなどの症状が起きる人など「人によって”お酒の強さ”が違う」と言われてます。
これは、アルコールやアセトアルデヒドを分解する働きに個人差があるからです。
”酔っぱらう”状態(頭がフワーっとしたり、楽しい気分になる状態)は、アルコールによって脳細胞の働きを低下させられている状態です。
そこで、身体はまずアルコールをアセトアルデヒドと分解させます。
アルコールの分解力が、強い人は酔いがさめやすいタイプで、分解力が弱い人は長くアルコールが残るので酔いがさめにくいタイプになります。
お酒の酔いにくさはアルコールの分解力に左右されますが、ここで問題なのはアルコールを分解した後の毒性の強いアセトアルデヒドです。
《アセトアルデヒドの分解力にも個人差がある》
アセトアルデヒドの”分解力が弱い人”は、毒性の強いアセトアルデヒドが全身に長く留まりやすくなるので癌リスクも高まり、腸内のバリア機能の低下をはじめ様々な健康リスクを高めます。
アルコールを摂取して、身体が赤くなりやすい人や頭痛や吐き気・胃もたれ・胸やけ・動機などの症状が出やすい人・長く続く人は、飲み過ぎやアセトアルデヒドの分解力が弱い可能性があります。
今のところアセトアルデヒドの分解力は、その人の遺伝子によって決まると言われており、途中から分解力を強くすることは難しいです。
*ただし、アセトアルデヒドの症状に身体が慣れることはあるので、日ごろから飲酒することで赤くなったりする、頭痛がするなどの症状は少なくなっていきますが、あくまで”慣れた”だけで、アセトアルデヒドの分解力はそのままの状態です。
それなのに、お酒(アセトアルデヒド)に強くなったと勘違いして、飲酒を続けると健康リスクは非常に高くなるので、赤くなりやすい人はお酒を控えることを強くオススメします。
◆参考リンク
アルコール依存症には遺伝子が関与!?(外部リンク)
腸活とアルコール
腸内環境や健康リスクを考慮すると、やはり「アルコールは摂らない方が良い」でしょう。
しかし、毎日お酒を飲んでいる人が、いきなり断酒をするのは、ふとした拍子に反動で飲酒量が増える恐れもあり難しいと思います。
腸内環境の悪影響が少ない飲み方や、無理のない断酒をして少しずつ減らしていきましょう。
①自分の適量分まで控える
自分の適量を”1杯”と目安にして、さらにそこから少し減らして0.8杯以下を目標に、量を減らしていく。
*アルコールとアセトアルデヒドの分解力には、個人差があるので、自分の感覚で適量の基準を見極める必要があります。
◆参考リンク
適量ってどのくらい?(外部リンク)
②ノンアルコールに代える
最近はアルコールが入っていないノンアルコール飲料も増えているので、腸内環境や肝臓に負担はかけたくないけど、お酒の雰囲気だけでも味わいたい、というときはノンアルコール飲料に代えてみるのがオススメです。
ただし、ノンアルコール飲料には添加物や人工甘味料が含まれているものもあります。
添加物や人工甘味料は、消化しにくい物質が多く含まれているので、過剰摂取すると腸内環境が悪化します。
気になる方は原材料をチェックしてから、添加物や人工甘味料の入っていないものを選びましょう。
③その他
他にも、喉が渇くと、お酒が欲しくなる人は、こまめに水分補給をするとか、ストレス発散のために飲酒する人は、何か別の趣味を見つけるなど工夫が必要になります。
◆参考リンク
挫折しにくいおすすめの禁酒方法5選!(外部リンク)
まとめ
「酒は百薬の長、されど万病の元」という”ことわざ”の言う通り、アルコールはやはり健康に悪く、少量でも健康リスクは高まるので”飲まない”に越したことはありません。
身体のことを考えると毎日の晩酌はやめて、お酒は、たまに会う友人などと一緒の時に”少したしなむ程度に控える”と良いでしょう。
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